因子分析(いんしぶんせき)は、多変量解析の手法の1つで、心理学におけるパーソナリティの特性論的研究など、心理尺度の研究手法として使用される。モデル式の形状などから主成分分析と混同されることもあるが、 主成分分析は観測データから合成スコアを構築することが目的であるのに対し、 因子分析は観測データが合成量であると仮定し、個々の構成要素を得ようとすることが目的であり、両者は因果関係を異にする。
適用の例として「器用さ」の個人差の検討が考えられる。 A, B, C の3人はそれぞれ「ジグゾーパズル」「彫刻」「時計の分解」をある速度で器用にこなすことができるとしたときに A, B, C の器用さをどのように評価すればよいかを考える場合、3人が3つのテストにかかった時間に対して因子分析を適用することで、3つの課題に共通する潜在的な「器用さ」の導出を試みることができる。
因子分析では、因子数を事前に与える必要があるなど、数学的見地から理論的に疑義をはさむ意見もある一方、主成分分析が測定誤差を考慮要素に含めずに合成変量としている点を批判するなど、両者に関してともすれば宗教論争的な議論が絶えない。
いずれにせよ、データ解析における基本的心構えとして、算出された数値はあくまで計算によるものであり、それらの妥当性は研究者の判断に委ねられることは当然である、と理解しておく必要がある。
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